年度末は忙しくて遅くなりましたが、3月11日に行なわれたASIA MUSIC Connectionのレポートです。
台湾、日本、香港の順に行なわれているコンサート。その日本公演に行ってきました。(香港は明後日23日)
私はとにかくGEMの歌がお目当てでした。それと盧廣仲 (ルー・グワンチョン) も面白そうなので期待して行きました。(どんなイベントだったかは
前回の投稿で)
すでにWEB POPASIAというサイトにもレポート上がっており、各アーティストの公式ステージ写真があります。書いておられるのは
C-pop Universityの小西さんです。
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web popasia 「ASIA MUSIC CONNECTION 2012」ライブレポートでは私のレポートです。記憶をたぐりながらなので曖昧なところはあります。
開演前場所は東京ドーム敷地内にある東京ドームシティホール。3000人のホールで、8割以上は埋まった感じです。
開演前に、約束をしていただんなさんとGEMファンのまえっちさんと会場で落ち合いました。私とだんなさんは2階バルコニー席の後ろの方 (私は更にその右端)。まえっちさんは1階バルコニー席の超右端でステージの横です。皆さん先行予約に申し込んでいたのに抽選でそんな席でした。「おそらくヴァネス・ウーのファンのお姉さんたちがたくさん申し込んでいたのだろうな」などと話していました。会場の8割ぐらいは女性でしたから。しかしその推測は間違いであることに最後に気付きます。
開演3.11ということもあって、映像で文字メッセージが流れます。「音楽のチカラ」というものを、あの災害に結びつけたメッセージでした。
会場にはビデオ収録のカメラが数台入っておりました。
トップは唐禹哲 (タン・ユージャ/D.T/台湾)。
登場するとアリーナ席を中心に、まあまあの歓声が上がりました。
演奏はカラオケです。その他のアーティスト達もそうなのかと思うとかなりがっかりしました。録音された音は生に比べて前に突き出してきません。
MCは片言の日本語で、「みんな愛してます」とか、なんとなくファンミーティング風のノリでお姉さんや元お姉さん達のハートをつかみます。込み入った話は中国語で話してステージにはいない通訳さんの声が入りますが、台湾人の通訳のようで、途中日本語がしどろもどろになったり分かりにくかったです。
最後にピアノ奏者の演奏で (シンセピアノ)、3.11に捧げるバラードを歌いました。
一応私は曲が終わるたびに拍手はしておりましたが、私の周りの「お姉さん元お姉さん」達はそれぞれお目当てがあるのか何のリアクションもありませんでした。
2番目にGEM登場(ジェム/香港)
スクリーンにGEMの紹介映像が流れ、パラパラと数人の拍手が起こります (きっとその一つはまえっちさん)。ステージにはグランドビアノが用意され、暗転したステージにGEMらしき人影が登場してピアノに座りますが、会場は墓場のように静まり返っています。あまりの静けさに私は拍手しようとした手が固まりタイミングを失いました。きっとまえっちさんもそうだったと思います。今回のメンバーでGEMは最も知名度が低かったと思います。
しか~し! ピアノの弾き語りで歌い始めると、それはもう「本物の歌声」です。英語のR&Bバラードで、だぶんアメリカのカバー曲です。そのパワフルな歌声に会場全体が息を呑むような雰囲気です。歌い終わるとさすがに会場から大きく拍手が起こり少し歓声も上がりました。
2曲目はブルースの弾き語りで、そのソウルフルな声のダイナミックレンジが胸を打ちます。曲が終わるたびに拍手と歓声の音量が上がります。
その2曲が終わるとGEMはマイクを持ってピアノの前に出てきて、拍手も終わってシ~ンとした会場で、恐る恐るはにかんだ笑顔でひと言。
「コンニジワ」
それまでの本格的な雰囲気からしてガクゥ~っとなる雰囲気です。その可愛さに思わず会場全体から好意の笑いが起こります。
おそらく暗記して来たのでしょう、簡単な日本語のMCが続いたあと、「ニホンゴ、ヒトツ、オジエデクレタ。……(大声で)あげぽよ~~!!!」
どっと笑いが起こります。「あげぽよ」ってなんだ? と今回落ち合った皆さんも言ってましたが、帰ってから調べると「ハイテンション」を意味する女子高生用語でした。
そのあとは英語のMCになりました。なんとか聞き取れました。「次の曲は東京でミュージックビデオを撮った曲です」と (本当は神奈川県ですが)。それですぐわかりました。「All About U」です。私はこの曲を聴いてGEMに注目したのです。
CDと全く同じ歌声です。これは凄いことで、とにかく声が安定しています。CDと同じと言ってもクチパクではないことは聴けば分かります。CDではあり得ないそのダイナミックレンジのパワーには舌を巻きました。生で聴けて本当に良かったです。
そこからの演奏はカラオケで、「All About U」の頭の出がブツっと少し切れたのはひどかったです。他のアーティストの時もこれはありました。
続いて4曲目の前に、GEMはプロデューサーのルポ・グローイングを紹介すると、ルポがギターを持って出て来ました。この人、台湾の庭竹 (ジャスミン) もプロデュースしたり、アジアで頑張っているアメリカ人です。いいギターを弾く人で、4曲目の「Get Over You」ではGEMの情熱的な歌声に負けじと泣きのギターを弾きまくりました。ボーカルとギターの音を抜いて再編集したカラオケがバックです。ルポは最後までギターで参加しました。
5曲目は「A.I.N.Y (愛你)」。GEMが北京語で詞を書いてルポが作曲したものです。じめっとした曲で個人的にはあまり好きな曲ではなかったのですが、やはりそのパワフルな歌声が胸を打ちます。腰のあたりまでマイクを離しても、突き抜けるような声が聞こえてくるパワーには感動しました。
そして最後の曲は、私の持っている2枚のアルバムには入っていないノリノリのロックで (カバーかも)、イントロでGEMが観客を煽るとアリーナ席のほとんどが立ち上がり手拍子を始めました。
ファンではない観客のハートを歌だけでつかんだのは、たぶん今回のメンバーではGEMだけだったと言い切りたいです。
たった6曲。30分。もっと聴きたかったです。
(※追記 : 21日)GEMのFacebookによると、最初に弾き語りで歌った2曲は「If I Ain't Got You」と「Mercy On Me」で、3.11に合わせて選曲したそうです。盧廣仲 (クラウド・ルー/ルー・グワンチョン/台湾)
意外にも、登場すると主に会場左側から凄い歓声が上がりました。「けっこうファンがいるんだ」と思いました。会場から「我愛你~!」と声がかかるたびにグワンチョンは「でへへへ」と笑います。日本語で「日本の友達ぃ!」と言っただけで歓声が上がり、同時に笑いも起こるという調子です。一応知ってはいましたが超不思議なキャラです。
こう言うとなんですが、ちょっと残念な顔に、落ち着きのない動き。客を笑わせるというより笑われるタイプのキャラを発散していて、観客が笑うと一緒に「でへへへ」と笑い、その笑いで笑いをとっています。そのキャラで生ギター1本で小粋な音楽をやります。1人ステージで物凄いエネルギーを発していました。
途中ほどけた靴ひもを結んだり、イントロでギターを失敗して「ワンモア!」と言ってやりなおしたり、やり直す前にタオルで汗を拭いてメガネを拭いてと、上がっているのかいないのか、終始落ち着きのない動きで客を笑わせて、というか笑われているのを利用しているのかいないのか、さっぱり分かりませんがほとんど話もせずに最後まで笑わせてくれました。
呉建豪 (ヴァネス・ウー/台湾)
登場すると、「V」の形の赤いペンライトが会場全体で一斉に振られます。「やはりヴァネスファンがほとんどだったか」。
色っぽい女性2人を含む6人のダンサーを引き連れて、かっこいいステージを見せます。
ただ、これが生演奏なら私はもっと注目して純粋に「音楽」として楽しめたかも知れませんが、ヴァネスが悪いわけではなく、この「カラオケで歌って踊っている」というのは、アルバム発売の街頭キャンペーンの延長にしか見えず、ちょっと引いて見ていました。ボーカルをメインで聞かせる曲が少なかったことと、perfumeのようなケロケロボイスを生歌にかけたり、音が作られ過ぎていたせいもあります。
私の場合ずっと昔から、本来コンサートといものは生の演奏や歌を聴きに行くものだと認識しています。ボーカルにエフェクトをかけるのも生演奏の中でそれが行なわれれば面白いと思いますが、カラオケという録音の中でそれが行なわれると全部電気の音になって面白くありません。
ヴァネスはとても親日だったり、音楽もとても頑張っているのは知っていますから、私の中では好感度は高いのですが、このステージはちょっと残念なものでした。
ちなみに、DTもヴァネスも独自に通訳を連れて来ていたようで、こちらは日本人通訳のようで、ヴァネスとのやりとりそのもので笑いをとっていました。そして3.11へのメッセージもありました。
ところで会場均一に赤いペンライトが振られてはいましたが、あとから考えると赤い光なのでたくさんいたように見えただけで、観客の50%もいなかったと思います。では、この観客の多くは誰をお目当てに来たのでしょう。あと1人しかいません。
ナオト・インティライミ(日本)
J-POPです。彼が登場すると、今まで私の周りで拍手もせずにシ~ンとしていた「お姉さん元お姉さん」達が一斉に立ち上がりました。いや、私の周りだけでなく、会場の6割以上は立ち上がったと思います。
「そうだったのか…」。私はC-POPコンサートという認識で来ていましたが、やはり日本で行なわれるコンサートに日本人アーティストが出ると、そのファンが一番多く詰めかけるのは当然かと思います。おそらく彼女達の多くは中国語のポップスなんてなんの興味もなくずっと待っていたのでしょう。
それでこのナオト・インティライミと言う人。私は今回初めて知ったのですが、ポップからバラードまで、とてもいい歌を聞かせてくれました。
C-POPばかり聴いていてたまにこうやって日本のものを聴くと、たとえカラオケ演奏でもとてもタイトでいい音がしてますし、ダンスの切れもいいし、やはり日本のものは良く出来てるなとつくづく思います。
ただこの人、話が長い。関西系のアーティストにはよくいますが、話術に優れていて話で観客を引き付けます。実際長いと言っても退屈はせず、やはり3.11への話もあり、しんみりさせたり笑わせたり、話はとても面白かったです。
この2日前に台湾でこのイベントをやっていて、彼はGEMとDTとはすでに会っていますし、他のメンバーとも仲よくなったようで、1人ずつ今回のメンバーのことを言っていくのですが、「GEMちゃんに “あげぽよ” を教えてあげた」ということでした。ヴァネスについては「あのカッコ良さは卑怯やわ」「もう、めっちゃええやつ!」と言っていました。
彼だけが最後にアンコールを1曲、ピアノの弾き語りでやりました。
あとがき各アーティストの登場前に紹介映像が流れ、そこで長い紹介文が流れたのですが (イベント公式サイトに書かれてあった文)、私の仕事のセオリーからすると映像で長い文章を読ませるなんてナンセンスです。やはり司会者は必要だったと思います。結局のところ、順に演奏しただけ、それぞれのファンがそれぞれを応援しただけ、という感はあります。海外のアーティストを知ると言う意味でもこういうコンサートはとても意義はあると思います。来年もやってくれるなら、その意義を活かすためにももうちょっと工夫が欲しいところです。
でもやってくれて良かったです。
ちなみに、このイベントの主催はソニーミュージックなのですが、日本公演にはソニー系の所属歌手はいません。やってくれますソニーさん。来年もよろしく!
終演後の飲み会今回のメンバーは、だんなさん、まえっちさん、Zuihongさんらとの4人。誰かが終電の時間が気になり始めるまでC-POP談義に花が咲きました。メロンパンさんとも会場で会いましたが、残念ながらお忙しいようですぐ帰られました。
みなさん、またお会いしましょう。
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テーマ : 中華ポップス - ジャンル : 音楽
タグ : G.E.M.盧廣仲唐禹哲呉建豪ナオト・インティライミ