可愛い2人ですがパワフルです。今年8月に台湾でデビューしたユニットです。
男の子のほうが﨟銘偉 (ライ・ミンウェイ) 、通称ユーミン。女の子が黃美珍 (ホァン・メイジェン) 、通称ジェーン。通称の頭文字をとってY2Jなのでしょうが、間の「2」はわかりません。
2人とも台湾原住民族で、ユーミンがタイヤル族。ジェーンはプユマ族で、アーメイ (張惠妹) と同じ村の出身だそうです。
タイヤル族の言葉で「ユーミン」は「神木」を意味し、そしてジェーンが小瞳 (トンちゃん) という愛称で呼ばれていたことからユニットの中国語名が「神木與瞳 (シェンムウユートン)」となったそうです。
台湾原住民たちはみんな歌がうまいと言われているそうですが、この2人の豊かな声量もそこから来たのでしょうか。とても聴いていて心地いいものがあります。
2人は台湾の人気オーディション番組「超級星光大道」に別々に登場して人気を得ました。そしてレコード会社の企画でユニットとしてデビューしたのです。そのデビューアルバムは骨太でパワフルな仕上がりになっています。
「為你而活」CD+DVD 2008年8月
→歌詞 →iTunesストアweb試聴
01.
為你而活02.
武裝的薔薇03. 愛在末日前
04. 理由
05. 愛鍊
06. Be Your Love
07.
草戒指08. 終結
09. 美麗
10. 不放
11. 法仔鼓
12. Se-Ma-Se-Nay Ku
13. 理由/愛鍊
ヘビーでドラマチックなロックが中心です。とは言ってもC-POPの王道はバラードですから、このアルバムもゆったりとしたというか、ズシリと重いリズムの曲が多く、そこにヘビーギターとパワフルな男女のハーモニーが乗ってきます。私はこの音は全然きらいではありません。前回紹介した衛蘭の新譜とともに今ヘビロテ状態です。
1曲目表題曲の「為你而活」は、ほかに表現が見つからないのですが、1969年のキングクリムゾンの名曲「エピタフ」を連想させす。パクリではありませんがオマージュを感じさせ共感しました。素晴らしくドラマチックでかっこいい曲です。
2曲目の「武裝的薔薇」も、昔バンドをやってた頃を思い出して血が騒ぎます。
かと思えば7曲目「草戒指」は普通の(ロックではない)歌い上げバラードで、美しい曲です。染みてきます。2人の歌唱力が生かされています。それからジェーンの歌声はディンダン (
丁噹) にちょっと似ています。
9曲目、アップテンポの「美麗」はバリバリのヘビメタで、ここからヘビメタ系に入っていきます。
11曲目「法仔鼓」はユーミンのソロで、彼の一族の民謡をアレンジしたものかと思われます。
12曲目ジェーンのソロ「Se-Ma-Se-Nay Ku」のほうはプユマ族の言語のようで、不思議な響きを持った歌詞です。歌詞というより叫びのような感じで、歌詞カードに歌詞がありませんでした。これはプユマ族に伝わる民謡かも知れません。
実質この12曲目がラストの曲で、トラック13は4,5を編集でつないだ短いダイジェストです。最近の台湾のCDにはこういうのがよく入っていて、店頭プロモーション用かと思われます。
このアルバムにはいろんなヘビーロック系の曲が入っていますが、とにかく「これでもか!」とバリエーションが出て来てあきさせない上、どの曲もよくできています。確かに欧米のヘビーロックに比べるとややパワー不足かも知れませんが、それは日本の多くのものも同じです。しかし昔バンドをやっていた私には大いに共感できるところがありますし、あのころブリティッシュロックばかり聴いていた私には、このアルバムはなかなかのツボです。
DVDオマケのDVDには上にリンクを張った3曲のMVと、ライブハウスのような小さなステージのライブ映像3曲が入ってました。そのライブ映像には感極まって涙を流しながらもしっかり歌うジェーンと、その涙をぬぐうユーミン。目立ったステージパフォーマンスなど全くないのですが、一途に歌う2人が写っています。
これからどうなっていくのか、まだまだ未知数の2人ですが実力は充分感じます。
ちなみにそのバックでドラムを叩いていた人は、
陳綺貞 (チアー・チェン) のバックでいつも叩いている人でした。
それから「武裝的薔薇」MVの監督とジャケ写は黄中平 (ホァン・チュンピン) です。このジャケ写、
F.I.R.「飛行部落」のジャケ写とポーズが似ています。
ソロ曲についてちょっと芸能ネタ的な話です。
このアルバムでユーミンがソロで3曲、ジェーンが2曲歌っています。
それぞれ1人でコンテスト番組に出たということは、やはりソロデビューを夢見ていたのでしょう。しかしレコード会社的にはちょっとソロではキャラが弱いと考えてユニットにしたのだと思います。そして人気が出たらソロデビューという目論見というか、彼ら2人にもそれを約束しているのではないかと推測されます。とりあえずのユニットというところでしょう。
確かに仲のいい男女ユニットは「あんなカップルになりたい」というあこがれでファンになる人が多く出てきます。3人組ユニットのF.I.R.は、フェイと阿沁がファン公認のカップルになってしまいました。しかしもし破局するようなことがあればユニットは解散の危機になる可能性があります。
Y2Jの2人は、すでにそこそこの人気は出ているようで、仲良くなればそれはそれでファンが増えてレコード会社は歓迎で、それが破局すればソロデビューさせればいいということでしょう。プライベートな男女の関係も商売に結びつけるのは、どこの国の芸能界も同じだと思います。あくまでも推測ですが、なんとなくそんな流れのような気がします。
いずれにしても今の2人を見ていると、まだ運命共同体のように見えます。
私としてはこの2人はずっと仲良くこのユニットを続けていってほしいと思っています。企画で作り出されたユニットとは言え、2人の声の絡みは素晴らしいですから。
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テーマ : 台湾ポップス - ジャンル : 音楽
タグ : Y2J 神木與瞳 台湾原住民族 2008年デビュー CDレビュー 音楽映像レビュー 台湾グループ