キュートな実力派新人の渋いアルバム
郭采潔 (クオ・ツァイチエ) 、通称アンバー・クオは、昨年暮れにデビューした新人です。このルックスですから、すでにあちこちから引っ張りだこのようで、台湾、大陸のCMに数多く出ています。しかし昨年デビューした同じ「クオ」の
郭靜 (クレア・クオ) と同様、歌はアイドルPOPではありません。また、ツァイチエはソングライターでもあり、このアルバムからはその才能を感じさせるものがあります。ジャケ写のルックスも売りの一つでしょうが、中身もなかなかの出来のデビューアルバムになっています。
元々は、
F.I.R.の阿沁や
孫燕姿 (ステファニー) らの4本のMVに出演して注目されたのがデビューのきっかけだったようです。新譜のテレビCMは、とりあえずその類い希なルックスで引きつけようというのか、ツァイチエの歌は流れず、そのMVの出演シーンを集めたものになっています。
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新譜のCM現在ツァイチエは現役女子大生の21歳です。
「隱形超人」2007年12月
→iTunesストアweb試聴 01. I Remember
→MV 02. I Need You
03. Shopping 明天
04. 快一點
→MV 05. 隱形超人
→MV 06. 誠實地想你
07. 欠踹的背影
08. 我的未來式
09. 走路飛行
10. 愛情定格
→MV ※MVはYouTube全体にスローな曲でもロックテイストを感じるものが目立ちます。
可愛い声ではあるものの、1曲目から渋い曲が流れてきます。ツァイチエ作詞作曲の英語曲です。(プロデュースの陳偉という人が詞曲ともにサポートしています)ヘビーギターこそ入っていませんが、もし入っていたら往年のブリティッシュロックのバラードを彷彿とさせます。私の好きなタイプの曲です。できれば泣きのギターなどを入れてもっとドラマチックに盛り上げて欲しかったところです。
2曲目はアコースティックロックっぽい感じで始まる曲で、これもツァイチエが書いた曲です。なかなか渋い曲を書く人です。アレンジもドラマチックに展開します。
ツァイチエが書いたのはこの2曲だけですが、このアルバムは全体に渋い感じでまとめられています。
と言っても、トラック3,4はアイドル系の要素が入っています。特に4曲目「快一點」は元気一杯ロックンロールアイドルPOPです。この2曲を外せば、渋~いアルバムに仕上がっていたはずです。
レコード会社(ワーナー)としても、ツァイチエの音楽的才能を全面に押し出したいところではあるものの、このルックスとこの声ですから、アイドル的に売れる可能性も考えたのでしょう。どう転んでもいいようにこの2曲を入れたのだと思います。実際のところ、発売直後からこの「快一點」がかなり注目されているようで、おそらく今後もこの路線は外さないでしょう。しかしこの2曲は浮いています。
この「快一點」の次に5曲目表題の「隱形超人 (見えない超人)」のイントロが聞こえてくると、ガクッとなるほどシリアスな雰囲気になります。このギャップはすごいです。この表題曲を含めて、渋い曲かっこいい曲がこのあと次々流れてきます。
8曲目「我的未來式」はノリのいいロックンロールで、ユニークな展開をしていきます。
9曲目「走路飛行」はややPOPな曲で、これもノリのいいかっこいい曲です。これは私のお気に入りになりました。
ラストの「愛情定格」はF.I.R.の阿沁が書いたもので、この曲もこのアルバムの中で異彩を放っているものの、渋い曲です。ピアノとストリングスをメインにしたドラムレスのアレンジで、まるでミュージカルの一場面を観ているかのような曲です。阿沁はかなりロマンチストのようです。ツァイチエの裏声も素晴らしいです。
ちなみに、1,2,5のMVとジャケ写は仕事し過ぎの黄中平 (ホァン・チュンピン) 監督です。クレアのジャケ写とMVもこの人です。
これからツァイチエは才能とルックスの間で揺れ動いていくことになるのでしょうか。
第19回台湾金曲獎の最優秀新人賞のノミネートには、予想外の人が入っていて、この郭采潔と郭靜の2人の「クオ」が入っていないのはおかしいという報道がされています。特にクレアのファンはかなり騒いでいるようです。金曲獎の舞台裏ではかなり「大人の事情」が渦巻いている気配です。
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出演CM1(台湾)
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出演CM2(台湾)
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出演CM3(大陸) …孫燕姿と共演。(このCMを編集した上海の会社に、以前私はずっと出入りしてました)
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テーマ : 台湾ポップス - ジャンル : 音楽
タグ : 郭采潔 アンバー・クオ 台湾女性歌手 2007年デビュー CDレビュー