久々のCDレビューです。(約9ヶ月ぶり)
素晴らしい才能を見せられたアルバムこの人の事は私の記事によく出てくるのですが、一度もちゃんと書いたことがありません。まずその紹介からです。
林俊傑 (リン・ジュンジエ/通称 JJ)。シンガポールの歌手ですがデビューは2003年の台湾からで、現在は両国でシームレスに活動しています。ソングライターでもあり、多くの人に楽曲を提供していて、周杰倫 (ジェイ・チョウ) と並んで、JJに曲を書いてもらう事が多くの歌手のひとつのステータスになっているように思えます。現在29歳。大陸でも絶大な人気があり、童顔でなんとなくトッチャン坊やみたいな顔をしていますが、すでに「超大物」の部類に入りつつあるように思えます。歌のセンスとともにとにかくきれいなメロディを書く人で、中華圏の芸能界にも彼のファンが多くいるようです。
「她說」 (2010年12月8日)
歌詞
01. 她說 (新曲)
→MV 02. 愛笑的眼睛 (原唱 : 徐若瑄)
03. 只對你有感覺 (原唱 : 飛輪海)
04. 當你 (原唱 : 王心凌)
05. 一眼萬年 (原唱 : S.H.E)
06. 保護色 (原唱 : 張韶涵)
07. 握不住的他 (原唱 : 蕭蕭)
08. 心牆 (原唱 : Bae Fong)
09. 我很想愛他 (原唱 : Twins)
10. 一生的愛 (原唱 : 李冰冰)
11. 記得 (原唱 : 張惠妹)
→MVBonus CD 01. 完美新世界
02. I AM
JJの通算8枚目のアルバムで、他人に書いた曲の自選セルフカバー集です。Angela張韶涵がゲスト参加しているので買ってみただけですが、これがなかなかいいです。いや、ある意味地味なアルバムなのですが素晴らしくいいですこのアルバム。
1曲目の表題曲のみ新曲で、作詞を同じシンガポール出身の超大物、孫燕姿 (ステファニー・スン) が書いています。間奏で11曲目の名曲「記得」のメロディが出てくるのが憎いです。タイトルの「她說 (彼女は言う)」は、主に女性歌手に書いた曲を集めたと言う意味でもこのアルバムをトータルで捉えたテーマ曲とも取れる曲です。ただ、このアルバム中最も地味な気がします。
各曲の原唱は私は4曲しか知りませんが、どの曲も原唱とは全く違う解釈のアレンジで歌っているようで、全体にアコースティックにまとめています。JJ自身が満足行く仕上がりの曲だけを集めたのでしょうか、とにかく心が高揚するようないいメロディがバラード中心に次々出て来ます。
とりあえず話題になっているのが、2006年にAngelaに書いた「保護色」にAngela自身が参加している事です。2回目のラップ部分の途中から突如Angelaの声が聞こえてきて、そのあとのハモりにちらちら聞こえるだけで、歌詞カードにも他のミュージシャンと同じ扱いで小さく「ラップフューチャー : 張韶涵」と書かれてあるだけです。発売前に大きく宣伝もされておらず、逆にそれが話題になったようで、これはサプライズ的なゲスト参加でしょう。Angelaとしても、レコード会社の企画ものデュエットでもなく、そして自分の名前が宣伝に使われたわけでもない初めての友情参加だったと思います。JJのセンスとともに、Angelaのドライブ感もなかなかのものです。
8曲目「心牆」はきれいなバラードです。昨年郭靜 (クレア・クオ) が歌ったものが有名なのですが、2005年の台湾ドラマ「海豚愛上貓 (邦題 : イルカが猫に恋をした)」の中に挿入歌として聞こえてきます。そのサントラ盤のクレジットに歌はBae Fongと表記されていますが、この人のその後の情報は全く見当たりません。埋もれた名曲をクレアがカバーしたように思えます。とにかくきれいな曲で、クレアが歌ったものも私は大好きなのですが、JJは山下達郎を思わせる1人多重コーラスの美しいアカペラから始めて、ほとんどアコギ1本の伴奏だけで仕上げています。
ラスト11曲目の「記得」。これも私が好きな曲で、これはもう張惠妹 (アーメイ) が歌った台湾ポップスの名曲中の名曲のひとつです。今回調べていて知ったのは、JJは歌手デビューする2年前の2001年にこれを書いていることです。この曲は多くの歌手がコンサートなどで歌っていて、調べてみましたが蕭敬騰 (ジャム・シャオ) や方大同 (カリル・フォン) など、男歌手は何人かアルバムでもカバーしていますが、さすがに女性歌手ではアルバムに入れている人はいません。日本で言うなら恐れ多くも美空ひばりの歌をカバーするようなところでしょうか。
ボーナスCDが付いていて2曲入っていました。この2曲目の「I AM」は自身のコンサートツアーのテーマ曲として書いた物で、これがとにかく素晴らしくて圧倒されます。重厚なバラードで、よくあるストリングスがたっぷり入った歌い上げバラードにはない斬新なアレンジも聞き物です。
C-POPの中でもシンガポールのポップスは自分たちでS-POPと呼んでいます。当然、台湾、香港、シンガポール、それぞれ特色があるわけですが、私がよく知る蔡淳佳 (ジョイツァイ) にしても、シンガポールのバラードの美しさに関しては他に無いものがあります。その中でもJJの場合は国境を越えた「才能」を見た気がします。
レコーディングはシンガポール、台北、北京、クアラルンプールで行なわれています。いいスタジオと言う事だけでなく、そこにいるいいアーティストと一緒にレコーディングしたかったのだろうと思えます。ミキシングはロサンゼルスです。
今回のアルバムはセルフカバー集という本筋のアルバムから離れたものなのでしょうが、私は絶賛します。
※ジャケットはデカくてB5サイズです。
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〔女也〕説 概念自選輯【CD】-リン ジュンジェ 林俊傑 - HMV ONLINE●
JJ林俊傑 / 概念自選輯 “她說” - 博客來網路書店(台湾)※24日発売の梁靜茹 (フィッシュ・リョン) の新譜と一緒に、博客來網路書店に頼んであったのですが、いつもの向こうの配慮で先に送ってくれました。送料はサービスです。ここでよく買うので私はかなり位の高い会員になっているせいかも知れません。
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JFJ-productions(JJ個人レーベルサイト)
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JJ Lin on Twitter ○
林俊杰官方网站 - 公式ファンサイト(BBSは登録が必要)
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林俊傑 リン・ジュンジエ
ピンイン : lín jùn jié / ウェード式 : lin chun chieh (発音→)
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テーマ : 中華ポップス - ジャンル : 音楽
タグ : 林俊傑 CDレビュー シンガポール歌手 張韶涵