大陸から台湾へ。ビュアでストレートな声が魅力です。
大陸でデビューして、今年台湾へ連れて来られたと言う珍しいケースの歌手です。
黃雅莉 (ホァン・ヤーリー/簡体字:黄雅莉)。現在20歳。ヤーリーは大陸の国民的人気コンテスト番組だった「超級女声」で、2005年に6位に入りデビューしました。この番組は視聴者投票がメインではあったものの、それなりに実力を持った歌手が多く出ています。特にこの2005年は、張靚穎 (ジェーン・チャン)、李宇春 (クリス・リー)、周筆暢 (チョウ・ピーチャン) など、この番組で大ブレイクした人がいて、ヤーリーも含めた4位以下の何人かもそれなりにブレイクしたものの上記3人の陰に隠れたような感じでした。また、この年は大陸でボーイッシュが流行り、李宇春、周筆暢とともにヤーリーもボーイッシュ路線で売り出されました。しかし男の私が見ると、大陸のボーイッシュと言うのは宝塚の男役のように男になり過ぎてちょっと引いてしまうところがあります。ヤーリーはワルガキ風のイメージでデビューしました。
「崽崽」2006年12月
この時17歳。元気一杯の少年が歌っているようなアルバムで、その元気さとストレートで伸びやかな声にインパクトがあります。楽曲がちょっと子供っぽいのですが、多重に重ねられたボーカルアレンジが面白く、聴いていて気持ちがいいです。結構私はこのアルバムが好きです。
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「崽崽」MV●
「蝴蝶泉边」MV●
「无聊」MVその後東京とシンガポールでボイストレーニングなどを受け、「超級女声」関係のコンピレーションアルバムなどで新曲を単曲でいくつか出していますが、いまいち鳴かず飛ばずだったようです。ちなみにその単曲の中にはJSの「殺破狼」のカバーもあります。
2008年に入ってヤーリーの活動はほとんどなく、このままではレコード会社 (天娱传媒) との次の契約更新はないと見たのが台湾の福茂唱片で、同社はヤーリーの才能に目を付けて獲得にかかり、半年かかって昨年6月に正式契約をしました。この時大陸では「黃雅莉台湾福茂唱片加入!」と、けっこう話題になったようで、大陸から台湾への移籍と言うのは大きなステップだということがわかります。しかしずっとヤーリーの活動がないため、忘れられないうちに昨年12月にまず大陸で希望に満ちたシングル曲「我還能飛翔」が出されました。そして今度はワルガキではなくちょっとボーイッシュな女の子として先月(09年6月)にやっと台湾でアルバムが出されたのです。
「雅莉不怕」2009年6月19日
→iTunesストア台湾web試聴 01. 戀愛絕句選
→MV 02. 懵懂
03. 相愛的人都等在這地方
→MV 04. 不一定快樂
05. 歌詞裡的他
06. 我還能飛翔
07. 明天的你和我
08. 愛光臨
09. 火星愛月亮
10. 臨床實驗
ヤーリーとしては2年半ぶりになる2ndアルバムです。全体にライトロック系で爽かな雰囲気です。大陸時代に比べると垢抜けて音がおしゃれになっていますが、最初は前ほどのインパクトは感じませんでした。しかしとてもいい曲いいメロディがたくさん入っていて、ちょっと聞き込むとけっこうハマってきます。ヤーリーの素直な歌声も魅力的です。
福茂唱片御用達の王雅君 (ワン・ヤージュン) が作詞や作曲で5曲参加していていて、アルバム全体のプロデュースにも参加しています。全体のストリングスアレンジも福茂お馴染みの阿滾 (アグァン) が担当していて、福茂唱片が総力を挙げているように思えます。
3曲目の「相愛的人都等在這地方」の曲を書いたのは易桀齊 (イー・ジエチー) で、これが彼らしいいいメロディで心に響いてくる感じです。4曲目は王雅君作詞で曲は福茂唱片の姉御ファンファン (范瑋) ねーさんが書いていますが、これもいい曲です。6曲目、大陸で先行して出された「我還能飛翔」は詞曲ともに王雅君が書いていて、ヤーリーの伸びやかな声を活かした素晴らしい歌い上げ曲になっています。7曲目もいい曲で、広い大地をしっかり歩いていくような勇気の湧くメロディです。これには中国の古楽器でしょうかチャルメラのような音が使われていて、素朴な味わいが出ています。9曲目がまた素晴らしい曲で、少し1stアルバムを思わせる素朴な懐かしさを感じる叙情曲で、私のかなりのお気に入りになりました。心に響きます。ラストはちょっとユニークでポップなロックで、後半にやはり1stを思わせる1人多重ボーカルが入ってきて面白いです。これを1曲目に持ってきてもいいほどです。
とにかくこのアルバムは全体に心に染みるメロディというのがたくさん出て来ます。それにヤーリーの一心に歌う素直な声が心地良く、アルバムとしても1つの方向性でとてもまとまったものになっています。実は先行MVを見てあまり期待せずに買ったのですが、なかなかの当たりでした。
ただ残念なのは短い曲が多く、4分を越えるのは2曲しかありません。どの曲ももうちょっと聴かせてほしいと思ってしまいました。
ヤーリーにとっては新たな一歩であり、台湾では新人ですから2回目のデビューと言ってもいいかも知れません。福茂唱片は少数精鋭でやっていて、郭靜 (クレア・クオ) 以来新人は出ていませんでしたので、今かなりの一押しのようです。福茂唱片の三姉妹と呼ばれるファンファン、Angela、クレアとともに「四姉妹」になれるでしょうか。
残念ながら台湾のアルバムチャートでは五大唱片に一週だけ16位に入っただけです。クレアとのデュエット曲などを1曲入れておけばもう少し違っていたでしょうけど。ルックスが弱いと言うのも原因でしょうか。なんだかんだ言っても若手の歌手はいくら実力があってもルックス次第というところがあります。このジャケ写いまいちですよね。誰だこの写真撮ったのは! あ、毎度お馴染み黄中平 (ホァン・チュンピン) 監督でした。中の歌詞カードには可愛く撮れているものがたくさんあるのにどうしてこれを使ったのでしょう。一番上に貼った釈由美子風の写真を使ってもらいたかったです。前記の三姉妹は黄監督にいいジャケ写をいつも撮ってもらっているのに、今回はちょっと失敗です。新人の場合はそんなことで売り上げを大きく左右するのですから。黄監督仕事し過ぎです!
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黃雅莉 公式サイト(台湾) …壁紙何枚かあります。
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黄雅莉 ブログ(大陸) ●
福茂唱片 黃雅莉のページ ●
LinfairRecords (福茂唱片) YouTubeチャンネル
黃雅莉/黄雅莉 huáng yǎ lì ホァン・ヤーリー
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テーマ : 中国・台湾ポップス C-pop - ジャンル : 音楽
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