この人には何も裏切られません。前回の「慶幸擁有蔡淳佳」から1年9ヶ月ぶり、ベストアルバムを除くと2000年のデビュー以来9年目にして5枚目のアルバムです。
アコースティックな軽いリズム曲が多く入ってきました。「回到最初」というタイトルは「Back to Basics」=「原点回帰」「初心に帰る」ということのようですが、これはおそらくジョイがデビュー前にシンガポールのライブハウスでギターを持って仲間と歌っていた頃に戻ろうと言うことかも知れません。また、シンガポール時代の2枚のアルバムを彷彿とさせる雰囲気も出てきます。それは今回のほとんどをシンガポールで旧友らとともに作り上げたからだと思います。
今回も限りない癒しの空間を作ってくれています。注目はJ-POP中孝介の曲を2曲もカバーしていることでしょうか。それと今回はジョイが5曲も作曲をしていることです。とにかく長く待たせてくれました。
「回到最初」2009年9月25日

01. 回到最初 02. 隱形紀念 →MV 03. 簷前雨 04. 回家的路 →MV 05. 前座后座 06. 表面完美的愛
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07. 他離開的第一天 08. 找回自己 09. 要幸福啊 10. 我們的最初 11. 我的家
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とりあえず素晴らしいのは中孝介の2曲のカバーです。「それぞれに」のカバー「隱形紀念 (見えない記念)」と、「家路」のカバー「回家的路 (家路)」。原曲がいいのはよく知っています。それでも誰が何と言おうとこれは素晴らしいです。この2曲はよく似たタイプの曲で、どちらも江崎とし子という人の作品です。この2曲をつなげたら初めて聴いた人にはどこが切れ目か分からないほど似ています。普通レコード会社的には「どっちかひとつにしようよ」というところでしょうが、ジョイは2曲とも歌っています。さすがにあいだに1曲入れて2曲続けては収録されてはいませんが、これはジョイが歌いたかったから、好きだったからとしか思えないわけです。かつて「涙そうそう」のカバー「陪我看日出」でジョイは大ブレイクしたわけですが、あのときは中華圏でヒットしていた「涙そうそう」をカバーしようと言うレコード会社の企画だったかも知れませんが、今回は明らかにジョイが歌いたかったからというのがこの歌声から聴こえてきます。本人はとても難しかったと言っていますが、自分が好きだと言う気持ちが聴く側に伝わるほどジョイは気持ちよく歌っています。アレンジはほぼ原曲通りで、キーが高くなっている分多少の味付けがされ、全体に爽かになったような印象を受けますが、ジョイは明らかに原曲のイメージを崩さないように歌っています。これはきっと原曲が好きだったからです。とは言え、特に「回家的路」は、これ以上力を抜きようがないというほど穏やかに歌い始めています。これはもう私には限りなく癒しの世界です。素晴らしいです。歌い出しを聴いただけで遠〜い気持ちになります。ジョイの歌声は本当に素晴らしいです。
その2曲だけが素晴らしいわけではありません。6曲目「表面完美的愛 (うわべだけの完璧な愛)」は、前回のアルバムにはなかったタイプですが、シンガポール時代の2枚のアルバムに入っていたタイプの曲です。それらのアルバムは現在かなり入手困難ですが、その後のベストアルバム「淳佳精選17首」に入っている「有你多好」などがそうです。美しいストリングスをバックにドラムレスで歌う情熱的な歌声は、その歌唱力と言うか表現力と言うか、理屈ではなくもう言葉を失います。感動の嵐です。
前回のアルバムは何人かシンガポールのメンバーを入れていましたが、基本的には陳偉 (チェン・ウェイ) という台湾のプロデューサーをメインに、台北のスタジオで仕上げていました。しかし今回はほとんどをシンガポールのスタジオでシンガポールのメンバーで作り上げています。ちなみにこのアルバムと同じ日に出たAngela (張韶涵) のアルバムもプロデューサーは陳偉で、この人はそれなりにセンスはあるものの、仕上げなどでとても大ざっぱな性格で繊細さに欠けるように思えます。
今回のテーマである「回到最初」。1曲目のその表題曲はシンガポールの林俊傑 (リン・ジュンジエ/JJ) が曲を書いています。林俊傑がジョイに曲を書くのは初めてですが、おそらく親交があったのでしょう。このアコースティックな軽いリズム曲と言うのがジョイの「初心」のような気がします。それを伝えて作ってもらったように思えます。今回ジョイが作曲した5曲 (トラック3,7,8,9,10)、9曲目のバラードを除けばどれもがそのタイプの曲です。かつてジョイは、ブレイクしたシンガポールでの1枚目のアルバム「日出」の中で「與生俱來」と「我想快樂些」の2曲を作曲しています。私はこの2曲とも大好きなのですが、どちらも軽いリズム曲です。ジョイのデビュー前、仲間とライブハウスで歌っていた頃は、おそらくジョイもたくさん曲を作っていたのだろうと思いますし、ジョイの作品を聴くと、こういう爽かな曲が好きだったのだろうと思います。今回はそのイメージでこのアルバムがくるまれています。
もうひとつ全体的なイメージとして、これも前回のアルバムにはなかったことですが、シンガポール時代と同じようにバックコーラスを男で統一していて、ジョイの歌声に男のコーラスが絡むと言うのは独特の雰囲気があって、これがジョイの大人っぽいイメージを作り上げているような気がします。これはアレンジャーではなく、旧友吳佳明 (ウー・ジアミン) というプロデューサーのセンスだと思います。
ラストに「我的家 (我が家)」というアコースティックギターと弦楽四重奏をバックにした短めの曲が入っています。とてもきれいな曲です。カバー曲の「家路」も含めて、今回は「初心に帰る」「懐かしい家に帰る」というイメージできれいにきれいにまとめられています。素晴らしいアルバムです。
ただ、レコード会社の企画に乗せられないで、自分の思い通りにアルバムを作れたのはジョイにとってはこれが初めてではないかと思います。初心に帰って新たに第一歩を踏み出すアルバムになっているような気がします。
更にもうひとつ特筆したいのは、とにかく音がきれいなことです。音質的なことではありません。アレンジと、最終的なミキシングでの音処理などにとてもセンスを感じます。まずミキシング処理の話からすると、アコースティックギター1本にしても、とても豊かな音で仕上げられています。日本や欧米では当り前のことなのでしょうが、中華圏ではミキシング処理に関しては全てではありませんが平均的にまだまだのところはあります。しかしこれはいい音で仕上げています。これらは全てシンガポールのメンバーによるものです。
ちなみにミキシングと言うのは、各楽器のバランスをとるだけでなく、録音されたそれぞれの音にお化粧をする作業で、曲風に応じていかに心地いい音にするかとか、いかにかっこいい音色にするか仕上げていく作業で、技術的なことと共にセンスを問われます。
アレンジに関してはジョイのシンガポール時代のアルバムを聴いてもセンスを感じていました。ジョイはバラードが多いわけですが、バラードのアレンジには台湾にないものがあります。特にバラードに付き物のストリングスアレンジなど素晴らしいです。
C-POPというざっくりとした区分けの中でも、シンガポールでは自分たちの音楽をS-POPと呼んでいます。S-POP自体は私はほとんど聴いていないわけですが、ジョイの曲を聴いていると、S-POPすごいぞと思ってしまいます。
上にMVのリンクをYouTubeに張っていますが、中孝介の2曲のカバーのフルMVが先行で公式に出ています。「隱形紀念」MVは私が嫌いな黄中平 (ホァン・チュンピン) 監督で、「回家的路」MVは私が大好きな台湾のMV巨匠周格泰 (チョウ・グータイ) 監督による物です。これらのMVについてまた後日、黄監督をけなして周監督を褒めることを書いてみたいと思います。
JOIリンク●
Joi Chua 公式サイト●
蔡淳佳 公式ブログ●
Joi Chua - Facebook●
蔡淳佳 YouTubeチャンネル●
蔡淳佳淳淨佳音後援會 …公認ファンサイト
参考になったらささやかな無償の愛など…^^
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テーマ : 中国・台湾ポップス C-pop - ジャンル : 音楽
タグ : 蔡淳佳 ジョイ・ツァイ ジョイ・チュア シンガポール出身 台湾女性歌手 C-POP